交代枠増によるメリットが大きいのは川崎と横浜FC。札幌には効果なし (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 同様に、昨季優勝の横浜F・マリノスと同2位のFC東京も、交代ゴールは6と比較的少ない。強いチームほど、すでにチームの戦い方が固まっており、あえて一か八かの勝負をかける必要がないとも言えるのだろうが、言い換えれば、せっかくの交代枠増加も、戦術変更という意味でのメリットは小さいのもかもしれない。

 ただし、全体的な傾向として言えるのは、交代ゴールが多いクラブであっても、スーパーサブに特化した選手が突出した数字を残しているわけではないということだ。むしろ、川崎の小林、レアンドロ・ダミアン(4ゴール)、広島のパトリック、鹿島アントラーズの伊藤(4ゴール)、横浜FCのイバ(3ゴール)など、各クラブのエース級FWが"交代出場でも"結果を残しているのである。

 過密日程のなかでは、主力選手だからといって、すべての試合に先発出場させていれば、いずれはそのツケが回ってくる。たとえエースストライカーであろうとも、試合によってはベンチに置き、勝負どころで投入する。そうしたメリハリのある使い方をうまくできるかどうか。そこにこそ、今季J1を戦ううえでカギがあるのではないだろうか。

 5人が交代出場できるということは、裏を返せば、先発出場したフィールドプレイヤー10人のうち半数はフル出場する必要がない、ということでもある。多くの選手をうまく使い回しながら、主力であっても、ときには先発で、ときには途中出場で活用していく柔軟性が必要になるのだろう。

(つづく)

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