チャナティップの札幌加入で「ガリガリ君」の売り上げが伸びた背景 (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 17年に札幌はムアントン・ユナイテッドからチャナティップ・ソングラシンを獲得。初年度はシーズン途中での加入ながらJ1残留に貢献すると、翌シーズンにはJリーグベストイレブンに選出されるほどに躍動。以来、札幌の攻撃的サッカーに不可欠な戦力として定着した。

 チャナティップは、試合以外の分野でも絶大な貢献をした。まずは札幌へのタイ人観光客が前年比49%増となった。そしてタイの大手放送局で毎節3試合が生中継されるようになり、Jリーグへの関心度は右肩上がりに上昇した。

 アジア戦略がスタートした当初の海外放映権料は1億円に満たない程度だったのが、15〜19年までの契約では年間約3.5億円に増え、2020年に新たに3年契約を結んだ際は、アジア戦略スタート当初と比べて10倍近くまで伸びている。

 もちろん、タイだけでなく、国内の企業からも注目を集めた。以前からタイに現地法人を設立して商品を展開していた「ガリガリ君」でお馴染みの赤城乳業は、チャナティップの活躍を受け、17年12月に札幌と「アジアプロモーションパートナー」を締結。タイ国内での商品イメージキャラクターとして、チャナティップを積極的に起用した。

 このようにチャナティップ効果は、インバウンド、放映権料、スポンサーシップと、あらゆるビジネスに大きな波及を生み出した。

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る