カズが最高に輝いたシーズンは?変貌する肉体とそのプレースタイル (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

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 出場したのは第2ステージからだったが、そこでカズは26試合に出場して23得点という圧倒的な数字を残している。この年、年間の得点王に輝いた福田正博の得点が50試合で32だったことを考えると、その23という得点が、どれほど価値のある数字か、おわかりいただけるだろう。

 カズは実際、その翌96年、年間の得点王(27試合、23得点)に輝いている。Jリーグはこの年から1シーズン制に転じたため、前年と単純に比較はできないが、カズのベストシーズンを探ろうとすると、この96年も有力な候補になる。

 93年のカズと、95年、96年のカズとでは何が違うのか。93年以前のカズは、チャンスメーカー色の強いアタッカーだった。

 ブラジル時代はウインガーだった。キンゼ・デ・ジャウー時代に出場したブラジル全国選手権では、ポジション別の記者投票で、左ウイング部門において3位にランクされていた。ところが当時の日本に、そのポジションは存在しなかった。

 23歳で帰国。日本リーグ時代の読売クラブでプレーしたカズは、なによりそのスタイルの違いに戸惑った。日本のサッカーが遅れていただけの話なのだが、その年(90年)、21試合に出場し、4得点7アシストに終わったカズは、評価を得られなかった。「鳴り物入りで入団したわりにこの程度か」と囁かれたりもした。

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