酒井高徳が優勝から抱いた危機感。「想像とは違う感情が生まれた」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 ならば、今シーズン目指すことは、昨年以上に「強いメンタリティを備えた、隙のない集団になること」――酒井は、かつて在籍したシュツットガルトでの1年目を思い返しながら、新たなシーズンへの決意を語る。

「シュツットガルトに移籍した1シーズン目、21、22歳の頃にチームがヨーロッパリーグ(EL)に出場したこともあり、初めて1シーズンで、40〜50試合を戦ったことがあったんです。しかも、すべての大会をフルで戦っていたら、パフォーマンスを落としてしまった。

 その経験からしても、(ヴィッセルの)今季のスケジュールを戦っていくのは、本当に大変だと思っています。じゃあ、それを乗り越えるにはどうするか、ですが、個々が自分の身体と相談しながら、コンディションを整えていくことはもちろん、何よりもメンタル的なタフさが不可欠だと思います。

 実際、チームって疲れが大きくなってくると、"なあなあ"になることが出てきてしまいます。練習メニューひとつとっても、一度"なあなあ"が許されると、チームは落ちていく一方で、歯止めがきかなくなってしまう。

 だからこそ、キツい時こそ戦わなきゃ、というメンタリティが必要というか。全員がしんどい時、辛い時こそ、それを力に変えて、パフォーマンスにつなげていく強さを発揮できるかが、一番のカギだと思います。と同時に、その状況でも"勝ち切ること"が僕自身のキーワードです」

 そうした酒井の思いが伝わったのか、今シーズン、ヴィッセルは富士ゼロックススーパーカップに始まった公式戦を、3連勝でスタートした。もちろん、内容にはまだまだ改善の余地はある。だが、酒井は結果が出ていることへの手応えを口にする。

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