1年生ですでに貫禄十分。松木玖生は
青森山田を再び頂点に導く (3ページ目)
自身の決勝点によって日本一へと導いた、昨年12月のプレミアリーグ・ファイナルからはモチベーションもグンと高まり、迎えたのが今回の選手権だったという。
高校サッカー選手権で惜しくも準優勝に終わった、青森山田の選手たち 当初の目標は決して高くなく、「これほど得点が取れるとは思っていなかった。1、2点取れればいいかなってくらいだった」が、初戦となった2回戦の米子北高校(鳥取県)戦で選手権初ゴールを記録。続く3回戦の富山第一高校(富山県)戦では2ゴールを叩き込み、早々と目標を達成。確かな自信を掴んだ松木は、応援席から日本一を見届けた昨年と同じく、決勝まで駆け上がった。
1年前は、「来年も決勝で圧倒的に勝つ未来を描いていた。自分が3点くらい取ってチームを勝たせようと思っていた」が、準決勝までとは同じようにはいかない。テクニカルな仕掛けを見せた静岡学園に、激しい守備で粘り強く対応したが、攻撃へは思うように絡めず、放ったシュートはわずか1本。
85分には、マークを外してしまった相手のDF中谷颯辰にヘディングシュートを決められ、「自分がマークを外して、守備のコンセプトを守れなかった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と唇を噛んだ。昨年度も全国中学校サッカー大会の決勝で負けているため、日本一への思いは強かった。「優勝という景色を見てみたい。まだタイトルは取れていないので来年につなげたい」と、悔しさは次のシーズンで晴らすつもりだ。
試合後は、人目を憚らず涙を流したが、常に悔しさを成長の糧にしてきた。思い出すのは、準決勝後に上田コーチが口にしていたこんな言葉だ。
「玖生は上のカテゴリーに行って、自分ができないと感じた時に『よし! やるぞ!』と思えるのが楽しいんだと思う。中学3年の秋から、高校のAチームの練習に交じっても通用しないんですけど、挫折なんて感じずにできないことを楽しんでいた」
今回の敗戦を機に、松木はまた成長するはずだ。名実共にエースとして迎える来シーズンの選手権では、より強く逞しくスケールアップした姿を見せてくれるだろう。
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