ベルマーレ、逃げ切ってJ1残留。
「湘南スタイル」の原点に立ち返った
今季のJリーグを締めくくる注目のJ1参入プレーオフ決定戦は、J2徳島ヴォルティスをホームに迎えたJ1湘南ベルマーレが後半に追いつき、1−1で終了。ドローで終わった場合はJ1のチームが勝利するというレギュレーションにより、湘南のJ1残留が決定した。
松田天馬(左)の同点ゴールでJ1残留を決めた湘南ベルマーレ「今シーズンはクラブで非常に大変なことが起こり、混乱もあり、グラウンドも使えず、いろいろなことがあったなか、選手は本当によくそれを乗り越えてくれたと思います」
開口一番、試合後の会見でそのように安堵したのは、第29節(10月19日)の横浜F・マリノス戦から湘南の指揮を執り、チームを残留に導いた浮嶋敏監督だった。
たしかに今季の湘南を振り返ると、最後にJ1残留を果たしたことが奇跡といっても過言ではないほど、いろいろなことがあった。
就任8年目の曺貴裁(チョウ・キジェ)前監督のパワハラ問題が突然浮上したことによって、シーズン途中に長期政権がフェードアウトして以降、クラブは先行きの見えない時期を過ごしながらリーグ戦を戦わなければならなかった。
また、シーズン終盤には大型台風に被災して練習グラウンドが使用不能となり、近隣のグラウンドを転々としながら試合に備えなければならない状況が続いたことも、チームの苦境に輪をかけた。
そんななか、シーズン前半戦は降格圏からほど遠い位置にいた湘南は、活動自粛の前任者に代わって高橋健二コーチが暫定的に指揮を執った第23節(8月17日)以降、泥沼に足を踏み入れることとなった。
「チームは分解しかけていましたし、僕もちょうどその時期にケガをしてしまって試合に出られませんでした。ただ、その時期に暫定ではなく、しっかり監督として(浮嶋)敏さんが来てくれたおかげで、チームとしてやらなければいけないことが明確になったと思います。そこで、少なからずチーム内にJ1に残留しようという気持ちが出たのがよかったです」
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