アルディージャ「笛吹けど踊らず」完敗。悪しき習慣を変えられなかった (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 シーズン前半戦で4度も首位に立ちながら、後半戦に急ブレーキ。それでも2位まで盛り返したが、最後の5試合で3敗を記録して6位に転落した。しかも、最終節では残留争いに巻き込まれていたFC町田ゼルビアに逆転負けを喫するなど、最悪の状態でこの試合を迎えた。

 では、不調同士の対戦で明暗を分けたポイントはどこにあったのか? そこで浮上するのが、両チームとも決定機を作れず乏しい内容に終わった、前半45分間の受け止め方の違いである。

 まず、それを誤算と感じていたのは高木監督のほうだった。

「3位でプレーオフに臨むということは、ホームで戦えるうえにドローゲームも勝利という状況のなか、(選手たちには)ドローで勝つのではなく点を獲って勝つんだと今週ずっと言ってきたのですが、あまり響かなかったのかもしれない。あるいは、何かを恐れているのか、自信がないのか、相手が上回っていたのか。この時点ではわからないですけど、結果的にはその部分が表に出てしまった」

 つまり、前半の大宮は"笛吹けど踊らず"状態だったことになる。

 実際、セットプレーからのシュート2本のみに終わったことに焦りを感じた指揮官は、アドバンテージを維持した状態でありながら先に動き、後半開始から1トップのロビン・シモヴィッチに代えてファンマ・デルガドを投入。タイプの異なるCFの起用によって、停滞する攻撃の活性化を図っている。

 一方、前半シュート0本で終わっていた山形の木山隆之監督は、ゴールを奪えなければ敗退するという状況にもかかわらず、焦りはなかった。

「我々としては、最悪スコアレスでも後半に勝負をかけていくということはチームで共有していたので、そこでパワーを使って1点決めることができたのが大きかった」

 指揮官がそう振り返ったとおり、後半55分に山岸祐也を、62分にジェフェルソン・バイアーノを投入すると、69分には坂元達裕のドリブルが起点となって、最後は途中出場の山岸がゴール前でボレーシュート。この試合で初めてのチャンスを作ることに成功し、明らかに試合の流れが山形に傾き始めた。

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