最強・仲川輝人。優勝争う3チームで随一の決め手を持つ横浜FMが奪首 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 これで、チームは5連勝。15シーズンぶりのJ1制覇へ向け、ラストスパートは加速する一方だ。

 もちろん、今季初めて首位に立ったことで、少なからず心理的な変化が生まれるだろう。追うものの強みは、FC東京の手へと移った、とも言える。

「まだ誰も満足していない。次の試合に向けて、最高の準備をするだけ。(首位に立っても)何も変わらない。変なプレッシャーはない」

 キャプテンのMF喜田拓也は、そう言い切る。だが、はるか15年前の歓喜など知る選手は一人もいないチームだけに、こればかりはやってみなければわからない。まして、最終節ではFC東京との最終決戦が待っている。残る2試合は、これまでの32試合とはまったく異なる空気に包まれるはずだ。

 それでも、極端なまでにボールポゼッションに偏ったスタイルを貫いてきた指揮官が、考えを変えることはない。

「自分たちのサッカーができるかどうかのプレッシャーはあるかもしれないが、優勝争いは関係ない。自分たちのサッカーをすることに集中している」

 シーズン途中には、主力選手を負傷で失うこともあった。その一方で、新たに移籍加入する選手もいた。選手が入れ替わるなかで、フォーメーションも「アンカー+インサイドMF2枚」から「2ボランチ+トップ下」へと、中盤の構成に手が入れられた。シーズンを通し、常に攻撃の中心的役割を担ってきたマルコス・ジュニオールが振り返る。

「(選手が入れ替わるだけでなく)システムが変わり、戦い方も変わっていくなかで、難しさはもちろんあった。だが、順応するのは早かった」

 それが可能になったのは、ポステコグルー監督が一貫した哲学で築いてきた、ベースがあったからだろう。

 自分たちのサッカーができているか――。目指す目標さえ最後まで見失わなければ、望むタイトルは自ずと手中に収まるはずである。

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