2019.10.31

小野伸二は沖縄でジーコになるか。
FC琉球会長が語るビッグな近未来

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 倉林が振り返る。

「(小野選手の獲得は)簡単ではなかったですよ(笑)。奇跡的なタイミングと、僕らの奇跡的な交渉と、奇跡的に、さまざまな方たちがお金の面でも協力してくださって実現できた。ただ単に『お金を払いますから』では来てくれない。僕らは将来、もっといいクラブになる。もっとよくなって、沖縄に対しても日本全体に対しても、アジア全体に対しても影響力を持って、その過程でJ1に昇格する、いけるというイメージがあることを小野選手も理解し、共感してくれた。そのために『自分の力が貢献できるならうれしい』と思ってくれた。それが一番大きかったと思います」

小野は、練習でも自ら進んで若手選手らと一緒に準備、片付けをしている 迎えた翌日のヴェルディ戦、小野は6試合連続で先発出場した。芸術的なスルーパスで一気にチャンスを手繰り寄せる「小野伸二らしさ」はこの日も健在だった。守備面でも、球際で泥臭く相手とからむなど献身的なプレーで貢献していた。試合は敗れたものの、小野の加入でFC琉球の攻撃の幅は広がり、チームとして目指す形もより明確になっていた。

 最後に「FC琉球がJ1に昇格したのちの、小野伸二」について質問してみた。

「今は現役選手としてチームに貢献してくれているので、指導者というイメージはまだありません。ただ、できるだけ長くクラブと関わってほしいとは思います。これから沖縄やFC琉球というクラブについて理解していくと思いますが、札幌でもそうであったように、沖縄にも愛着を持ってもらえたらうれしいですね。それはクラブとしても、将来的に『小野伸二GM』とか『小野伸二社長』とか(笑)。最高ですよね」

 Jリーグ夜明け前。日本リーグ時代は2部所属の弱小チームに過ぎなかった鹿島アントラーズは、38歳で来日したブラジルの英雄ジーコに牽引され、今は日本を代表するビッグクラブにまで成長した。FC琉球もまた、日本サッカー界の宝でもある小野とともにJ1昇格という目標に向かい、さらにアジアへと羽ばたいていく。それは決して、遠い未来の話ではないかもしれない。

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