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混戦のJ1優勝争い。上位陣それぞれの不安材料と理想のシナリオは? (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 首位を走る鹿島にとっては、川崎戦がターニングポイントになる可能性は高い。今季は夏場にFW鈴木優磨(シント=トロイデン)、FW安部裕葵(バルセロナB)、DF安西幸輝(ポルティモネンセ)などがチームを去ったが、新たにFW上田綺世(前法政大)、FW相馬勇紀(前名古屋)、MF小泉慶(前柏)を補強。上田や小泉の頑張りなどもあって、第28節でついに首位の座を奪取した。

 しかし、気がかりもある。それは故障者の多さだ。とりわけレオ・シルバ、セルジーニョという勝負を決めることの多い外国人選手がいないのは痛い。とくにレオ・シルバ不在で中盤の構成力は格段に落ちている。そうしたなかで川崎との対戦が控え、その翌節には広島も待ち構えている。苦しい状況でも勝つ術や経験則を鹿島は持っているとはいえ、故障者の復帰が間に合わないようだと、9度目のリーグ優勝は厳しくなるだろう。

 FC東京はホームスタジアムをラグビーW杯の影響で使えず、アウェーで連戦の厳しい日程のなかで鹿島にかわされて2位に陥落。本拠地でプレーできない疲労度を考えれば、よく戦っていると言える。しかし、リーグ優勝にはここからが正念場だ。

 残り5戦は、大分、磐田、湘南、浦和、横浜FMと対戦するが、残留争いに身を置くチームとの対戦が多く、対戦カードに恵まれているように映る。

 しかし、残留争いをするチームがこの時期に出すパワーは別物。下位チームに足もとをすくわれて優勝争いから転落したチームは過去にいくつもある。

 FC東京にとっての不安材料は、残留争いをするチームは、まず守備を固めて勝点1を狙ってくるということ。FC東京は永井謙佑とディエゴ・オリヴェイラという2トップのパワーとスピードを活かして得点を奪い、固く守り切りながら勝点を積み上げてきた。だが、下位のクラブといえども、相手に引かれて中央の守備を固められると、打開するのは容易ではない。

 長谷川健太監督のサッカーでは、下位相手に勝点1を逃すことはないだろうが、得点パターンがそこまで豊富ではないだけに、ゴールを奪えないようだと勝点3を上積みできない可能性はある。そこに対して、長谷川監督がどういった手腕を発揮するかは、終盤戦の見どころのひとつだ。

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