「メッシじゃないよ」微笑むチャナティップは日本で大きく成長した (3ページ目)

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 語る人が語れば、過信にも捉えられかねない発言だ。けれど、愛らしい笑顔で彼にそう言われると、そこに居合わせた誰しもが声を挙げて笑わずにはいられなかった。そして笑いが収まった頃に、次のように続けた。

日本でのプレーによって「すべての面で成長できている」と語る日本でのプレーによって「すべての面で成長できている」と語る「手強いのは、鹿島アントラーズと川崎フロンターレ。鹿島は常にとてもアグレッシブで、プレスは激しく、ボールを奪った後のカウンターも鋭い。川崎はパス回しがとても巧みだね。スペースのつくり方と使い方がうまくて、いとも簡単に決定機を創出する危険なチームだ」

 そんな風にピッチで対峙した相手チームを分析するチャナティップは、外からフットボールを観ることはあまりしないという。少年時代に憧れていた選手は、ディエゴ・マラドーナ。つまりリアルタイムの選手ではない。タイではプレミアリーグが人気だが、1試合をテレビでフル観戦するようなことはほとんどないという。

「プレーするのが好きだから、他の人の試合はあまり観ない。それに自分はプロになれたのだから、観るよりも、観られるようになりたい。かつてはマラドーナに憧れていたよ。今では(リオネル・)メッシが好きだ」

 初来日の際に頻繁に紙面を賑わせたのは、"タイのメッシ"というニックネーム。そんな風に呼ばれることもありましたね、と返すと、チャナティップはまたスマイルを浮かべてこう答えた。

「いや、メッシじゃないよ。タイのチャナティップだよ」

 L字型の親指と人差し指をアゴに置いて、タイのスーパースターはまたニヤリと笑った。

チャナティップ・ソングラシン
Chanathip Songkrasin/1993年10月5日生まれ、タイ・ナコーンパトム県出身。北海道コンサドーレ札幌所属のMF。2012年にテロ・サーサナでプロデビュー。同年にタイ代表でもデビューを果たし、AFFスズキカップ(東南アジア選手権)で大活躍。2014年と16年大会ではMVPを獲得している。2017年7月に日本へ。テロ・サーサナ(現ポリス・テロ)→ムアントン・ユナイテッド

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