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「メッシじゃないよ」微笑むチャナティップは
日本で大きく成長した

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由

北海道コンサドーレ札幌 チャナティップ(1)

今年27シーズン目を迎えているJリーグは、現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになっている。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、日本での生活をどう感じているのか? この連載では、彼らの本音を聞いていく。

◆ ◆ ◆

 タイ語の通訳のティワーポンさんに質問を投げかけたあと、チャナティップ・ソングラシンの顔に目を向ける。すると彼は大抵、笑顔を浮かべながら回答に頭を巡らせ、答え終えたあとにはこちらをじっと見つめ返す。

日本でのプレーについて語るチャナティップ日本でのプレーについて語るチャナティップ おそらくその視線と同じように、彼はまっすぐフットボールに取り組んできたのだろう。スマイルを忘れず、ポジティブに。

「あなたも知っているかもしれないけど、タイ人はいつも笑顔で明るいんだ。ほかの人と一緒に盛り上がったり、知らない人と触れ合ったりするのも好きだね」

 微笑みの国とも呼ばれるタイから、この小兵アタッカーが北海道コンサドーレ札幌にやってきたのは2017年夏のこと。当初、身長158cm、体重56kgの体格や東南アジアの選手への先入観から、懐疑的な目線も向けられていた。タイでしかプレーしたことのない選手がJリーグで通用するのか。それにあまりにも小柄すぎやしないか、と。

 チャナティップはそうした声を完全に鎮めた。史上初のタイ人Jリーガーは半年でリーグと環境に適応すると、翌2018年には完全なる攻撃の主軸となり、リーグ戦で30試合8得点をマーク。シーズン途中には翌2019年からの完全移籍を勝ち取り、シーズン終了後には、J1ベストイレブンにも輝いた。

 そして今シーズンも同じ役割を担い、クラブ史上初のACL出場権獲得を目指すチームを牽引している。

 チャナティップが初めて日本に降り立ったのは、2013年11月。当時所属していたテロ・サーサナ(現ポリス・テロ)がパートナーシップ契約を結んでいた、清水エスパルスに練習参加した時だった。

「日本に来て最初に感じたのは、空気がとてもきれいで、どこも清潔だということ。それから料理はとてもおいしく、街では欲しいものがすぐに手に入る。タイからも多くの人が旅行に訪れる人気の国だけど、その理由がすぐにわかったよ」

 その時は清水と契約に至ることはなかったが、およそ3年後に札幌から声がかかった。

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