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高校サッカーで奮闘。社会の厳しさを知る
元Jリーガー監督の過酷な現実 (2ページ目)

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • photo by Morita Masayoshi

 就任5年目の昨年、"谷間の世代"と評されたチームが初の選手権出場をつかんだのは、そうした変化の賜物だったと言えるだろう。

 今年からは選手の自発性を育むための制度作りを本格化させた。山口県の高川学園高校が行なう取り組みをベースにして部内にさまざまな部署を設立し、一人ひとりに役割を与えることで責任を持たせるようにしたのだ。

「おもてなし部」の部員からメニュー表を渡された「おもてなし部」の部員からメニュー表を渡された 代表的な例が『おもてなし部』。部に訪れた人々をもてなすために部員自らが進んでさまざまなおもてなしを行なう。筆者が取材に訪れた際は、「ドリンクをサービスしています。何を飲まれますか?」とメニュー表を渡され歓迎を受けた。ほかにも『農業部』では、近所の農家の手伝いを行なったりもする。

 一見、サッカーには関係ない取り組みかもしれないが、太田監督は「子どもたちの目配り・気配り・心配りを養いたい。それができてくるとサッカーにも活きてくる。今年のチームはダメな時ほどバラバラになってしまう。そういう時ほど、三つの配りを大事にしてほしい」と話す。

 ギラギラした就任当初の面影は薄れ、今の太田監督は表情も穏やかだ。

「今でも負けず嫌いだから勝ちたいんですけど、押し付けでやっても子どもたちをダメにしてしまう。今までは僕が厳しく指導して、子どもたちを失敗させないようにしてきたけど、結果は出なかった。もし、1期生で選手権に行っていれば気づけなかったかもしれない」

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