3連覇は絶望的? 6戦勝ちなしの川崎に必要なものは何か

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 J1リーグ第25節。6位のセレッソ大阪は、ホームに4位の川崎フロンターレを迎えた。2連勝中のC大阪は、上位チームに勝ってアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場を狙いたいところ。一方の川崎は、3連覇を目指すためには首位FC東京にこれ以上離されるわけにはいかない。お互いに勝ち点3がほしい試合だ。

 C大阪はケガの清武弘嗣に代わって柿谷曜一朗を先発で起用。川崎は中村憲剛、家長昭博、阿部浩之、小林悠と昨季優勝の立役者を揃えた。

セレッソ大阪に敗れ、うなだれる川崎フロンターレの選手たちセレッソ大阪に敗れ、うなだれる川崎フロンターレの選手たち 試合は開始早々の前半2分に動いた。C大阪の左CKは1度は弾かれたものの、瀬古歩夢が押し込んで先制点を挙げる。

 先制された川崎だが、まったく慌てることなく、本来のテンポのあるパスサッカーでC大阪のゴール前に迫る。すると前半13分、右サイドからの家長のクロスをGKが弾いたところを、阿部が左足で豪快に決め、同点に追いつく。その後は、C大阪が自陣でブロックを作り、川崎の攻撃を跳ね返す展開が続き、前半を1-1で折り返す。

 後半5分、C大阪はブルーノ・メンデスが負傷し、今夏、FC琉球から補強した鈴木孝司を投入する。すると後半9分、裏に飛び出したレアンドロ・レサバトのクロスを、鈴木がニアで合わせ、再びリードした。

 思うような攻撃ができない川崎は、家長に代え長谷川竜也、さらに中村に代えてレアンドロ・ダミアンを投入。サイドからのクロスを多用して、ダミアン、小林悠の高さで勝負するようになった。しかし、決定機らしいシーンはほとんど作れず、試合はそのままC大阪が逃げ切った。

 川崎はこれで6試合勝ちなしの3分3敗。前節に引き分けた清水エスパルス戦以上に、王者らしさは感じられなかった。前半開始早々の失点、後半開始早々の失点と、サッカーでは気をつけなければいけない時間帯に、簡単に失点を許している。負けるチームにありがちな失点だ。

 攻撃もちぐはぐだった。同点に追いつくまでの時間帯は、流動的に動き、テンポのあるパス回しで、川崎らしい攻撃ができていた。しかし、C大阪がうまく対応するようになると、後半21分に中村に代えてダミアンを入れ、サイドから放り込み出す。空中戦を多用すれば、攻撃は単調になる。本来の川崎のサッカーとは180度違うスタイルになる。とても、王者の戦い方とは思えない。

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