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鳥栖、土壇場の同点弾で最下位脱出。
足りないのは「運と流れ」だけだ

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 J1リーグ第21節、最下位のサガン鳥栖がホームに大分トリニータを迎えた"九州ダービー。引き分け以上で最下位脱出となる鳥栖だが、残留争いから抜け出すには勝ち点3がほしい試合。一方の大分も上位に食い込むためには勝利がほしいところだ。

 試合は、開始早々から鳥栖がハイプレッシャーをかけ、大分のポゼッションサッカーに対応する。しかも状況に応じて、前からプレッシャーをかける場合と、しっかりと後ろでブロックを作るときを使い分け、大分にサッカーをやらせない。ただ、それでも大分は慌てることなく冷静にボールを回した。

 一進一退のまま、お互いに決定機を作り出すものの決め切れず、前半はそのまま0-0で折り返した。

 後半に入り、均衡を破ったのは鳥栖だった。後半2分、福田晃斗のハイプレスから、ルーズボールを拾った安庸佑が、右ライン際からドリブルでゴールに向かい、左足でファーサイドに流し込んで先制する。

 大分は後半15分、ティティパンに代えて藤本憲明を投入。すると後半18分、左サイドを突破した田中達也のクロスを、三竿雄斗がニアで押し込んだ。鳥栖はオフサイドポジションにいた藤本がプレーに関与したと主張したが、判定は覆らず同点に。

 その後、鳥栖は金森健志、イサック・クエンカを続けて投入し勝負に出るが、2点目を決めたのは大分だった。後半37分、右サイドでのパス交換から岩田智輝がゴール左隅に決めて逆転に成功する。

大分トリニータ戦で試合終了間際に同点に追いついたサガン鳥栖の選手たち大分トリニータ戦で試合終了間際に同点に追いついたサガン鳥栖の選手たち 試合はこのまま終わると思われた後半45分、大分のGK高木駿のパスミスをクエンカがカットし金森へ。金森はGKを引き付け、そのパスを受けた金崎夢生が決めて、土壇場で同点に追いついた。お互いに勝ち点3がほしかった試合は結局、引き分けに終わった。

 それでも鳥栖は貴重な勝ち点1を奪い、最下位を脱出した。試合内容も決して残留争いをしているチームとは思えない戦いぶりだった。

 大分に同点に追いつかれるまでは、プランどおりに試合を進めていたと言っていいだろう。同点にされたゴールも、もしVARが導入されていればノーゴールになっていてもおかしくない、微妙なものだった。ただ、こういう運のなさも下位に沈んでいるチームにはありがちだ。

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