試合内容は悪くない。それゆえ、
清水エスパルスが抱える問題は根深い (2ページ目)
ところが、清水は前半終了直前の45分、逆にカウンターから、これまたあっけなく追加点を許してしまう。
さほど鋭いカウンターではなかった。始まりは何でもないクリアである。守備の人数は十分すぎるほど足りていた。
だが、「内容的にはよかったが、前半が終わってみたら0-2になっていた」(DFエウシーニョ)。結果的に、後半は清水に目立ったチャンスがなかった(シュート数は、前半の4本を下回る2本に終わった)ことを考えれば、事実上、この時点で勝負は決した。
「わりとイージーな形から失点したのが痛かった。今年は"ふいに"失点することが多い」
金子はそう言って嘆いたが、清水の失点の仕方を見ていると、なるほど「ふいに」という表現が、悲しいくらいにしっくりくる。
0-4という大敗も、決してピンチの連続だったわけではない。にもかかわらず、清水はいともあっさりと失点しまう。金子が続ける。
「見ている人も『ここで失点するの?』と思うようなところでやられている。やっている僕らも歯がゆい。なぜここで守り切れないんだろう、と。何でもないときに、いかに集中の度合いを高めるか。とくに前半ラストの失点(2失点目)はもってのほか」
清水が今季、リーグ戦11試合で失った総ゴール数は26。続くガンバ大阪の22に4点も差をつける、J1ワーストである。西部は「これだけ失点が多いと勝てない」と、顔をしかめる。
試合後、ほどなくヨンソン監督の実質的な解任が発表されたが、やむを得ない判断だろう。後半途中にフォーメーションを変えたり、戻したりと、落ち着かない采配は、今後を託すには心もとないものに見えた。
監督代行として指揮を執る篠田善之コーチのもと、清水がまず考えるべきは、いかに無駄な失点を減らすか、になるのだろう。
前述したように、しっかりとブロックをセットしたときの清水の守備は、かなり機能していた。しかし、ただ守っているだけでは勝つことはできない。当然、奪ったボールを攻撃へとつなげるわけだが、試合が動き始めると、清水は"ふいに失点病"を発症する。
つまり、失点過多の問題を、攻撃と切り離して考えることはできないのだ。
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