試合内容は悪くない。それゆえ、清水エスパルスが抱える問題は根深い
客観的に見て、点差ほどに悪い内容の試合ではなかった。
何より、勝った相手チームの監督が、「決して4-0の差があったとは思わない」と話しているのである。敗戦のショックを引きずることなく、試合内容を前向きに捉えることが大事。そんな試合に見えた。
だが、傍目には悪くない内容でも、結局は勝てない試合がいくつも重なれば、当事者はそれほど楽観的ではいられない。
清水エスパルスのことである。
内容は悪くないものの、結果を出せずにいる清水エスパルス J1第11節、川崎フロンターレをホームに迎えた清水は、0-4の大敗を喫した。アウェーチームばかりが次々に得点を重ねる試合展開に、多くの観客が試合終了を待たずに席を立った。
清水はこれで3連敗。J2自動降格圏の17位に転落である。
とはいえ、清水はそれほど悪い試合をしてはいない。「酷く見える点差での敗戦は残念だが、前半見せたパフォーマンスはよかった」というヤン・ヨンソン監督の言葉も、強がりばかりではない。
MF金子翔太が語る。
「前半で0-2という形になったが、悪くない立ち上がりだった。(攻守の)切り替えを速くして、アグレッシブに前から(ボールを奪いに)いけていた」
実際、試合序盤、パスをつないで攻撃を組み立てようとする川崎に対し、清水が中盤の高い位置でボールを奪うシーンは多かった。ボール保持者にプレッシャーをかけ、FWや2列目のMFがプレスバックしてボールを奪う。そんなことが間断なくできていた。
しかし、「ショートカウンターの質が、去年より低い気がする」と金子。清水はせっかくのカウンターのチャンスを、ゴールはおろか、シュートにさえつなげられない。
すると、前半23分、清水は川崎の左CKから、あっさりと先制を許してしまう。「あれは僕のミス」と悔やむのは、GK西部洋平だ。
「全体的には、やりたいことが見えていた。流れはよかった。前半は0-0でいきたかったが、1点目がプランを崩した」
それでも、清水の悪くない試合はまだ続いた。少しずつ敵陣に攻め入る時間を増やし、川崎を押し返した。左サイドを中心に仕掛ける攻撃は、同点ゴールを期待させた。
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