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勇敢なF・マリノス。
「本家」風間サッカーを超える攻撃志向 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 つまりは、ポゼッションにこだわった攻撃志向の強いチーム同士の対戦が、期待どおりの好ゲームとなった最大の要因は、横浜FMが自分たちのスタイルを貫き通したことにある。

 従来、ポゼッション重視の攻撃的スタイルと言えば、川崎フロンターレを率いた時代から続く、風間監督の代名詞だったが、その"本家"を後手に回らせるほどの、横浜FMの徹底ぶりだった。柔軟なポジション取りで横浜FMの攻撃を支えた、DF広瀬陸斗が語る。

「相手に関係なく、今までどおりの立ち位置で、いつもどおりのサッカーをやっただけ。プレッシャーがかかっても、スペースを見つけて連動してパスをつなぐ。(相手のプレッシャーを避けるため)蹴ろうと思えば、いつでも蹴れるが、自分たちのサッカーをして勝たないと意味はない」

 ポステコグルー監督は感情を顔には出さず、淡々とした口調ながらも、自信に満ちた言葉を口にする。

「自分は監督として、今まで攻撃的なサッカーを一度も止めたことがない。信じるサッカーを続けるだけ。もちろん結果も大事だが、見る人がワクワクするサッカーをやりたい」

 横浜FMの徹底したこだわりは、1-1で迎えた試合終盤の選手交代にも表れていた。

 後半25分、先に動いたのは名古屋だった。ボールを収めることのできるMF和泉竜司に代え、ドリブラーのFW相馬勇紀を投入。もう1点を取るための手としては一般的で、非常にわかりやすい交代策である。

 一方、横浜FMは後半36分、FW遠藤渓太に代えて、MF扇原貴宏を投入。中盤を厚くし、よりボール保持率を高めたうえで、相手を押し込むことを狙った。結果として、どちらがより有効だったかはともかく、自らのスタイルへのこだわりという意味では、ここでも横浜FMは"本家"以上に際立っていたように見える。

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