「イニエスタも負けたら怒る」。神戸指揮官が見せたリアリストの一面 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Matsuoka Kenzaburo/AFLO

 リージョは悪戯っぽく言う。

 しかし、本当のところは、トレーニングまでが監督の仕事で、「実際にプレーするのは選手」という割り切りがある。そのため、ベンチでの動きは他の監督と比べて極端に少ない。

 交代策をあまりしないことでも有名である。ピッチで起こっていることにコミットすることに奥手で、「必ずしも交代で状況は好転しない。ベストの11人を送り出しているからね」という姿勢の指揮官だ。

 風変わりな監督に映るかもしれない。しかし、何ごともプレーの質を上げ、勝利を得るためにある。

「(感情を)外に出さないので、あまりわからないかもしれないが、負けたあとのアンドレス(・イニエスタ)は怒っているよ。勝負に対する姿勢が大事だ」

 リージョは、フットボーラーとしてあるべき作法について語る。

「私はどんな試合だって、勝利を目指している。勝利はいつだって、プレーを改善させるからね。ルヴァンカップ(3月6日の名古屋グランパス戦)だってそうだった。メンバーは変えたが、必勝で挑んでいる。正直、(名古屋に)最後に追いつかれた(結果は2-2)ことに我慢ならない。私はまず、自分に怒っている。チームとして、勝者のメンタリティを持つことが重要だ」

 勝利の方策として、必要なポジショニングやコンビネーションがある。その強度、精度を鍛える――。リージョはそれに全力を尽くす。

 その一方で、システムに執着はない。

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