「主役」ヴィッセル神戸を食ったセレッソ大阪、ロティーナ采配の妙

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 他の8試合に先駆けて、文字どおり、2019年シーズンのJ1開幕戦として行なわれた、セレッソ大阪vsヴィッセル神戸。会場はセレッソのホーム、ヤンマースタジアム長居だったが、より大きな注目を集めていたのは、アウェーチームのほうだろう。

 FWルーカス・ポドルスキ、FWダビド・ビジャ(ニューヨーク・シティ/アメリカ→)、MFアンドレス・イニエスタ。神戸の先発メンバーには、話題の世界的名手がそろって名を連ねた。彼らがボールを持ち、セレッソの選手をひとり、ふたりとかわすたびに、そのほとんどがピンクに染まったスタンドからも、どよめきが起きた。

 だがしかし、晴れの舞台で勝利を手にしたのは、セレッソである。

 スコアは1-0。決して楽勝ではなかったが、神戸の高い攻撃力をほぼ完璧に封じ切っての勝利は、快勝と表現するに値するものだった。

「前半はボールを持ったときに、縦へ急ぎすぎた。忍耐を持って攻撃できなかった。よりボールを持つことを期待していたが、前半はその時間が短かった」

 今季からチームを率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督がそう振り返ったように、セレッソにしてみれば、もう少しボールを保持して試合を進めるのが、理想の展開だったに違いない。3-4-3のセレッソは「4」の右に、左利き(つまり、逆足)のMF舩木翔を起用したあたりにも、ポゼッション強化の狙いがうかがえる。

 ところが、「前半は守備の仕事が多くなった」とロティーナ監督。舩木も「もう少し(自分がサイドに開いて)幅を取って(ボールを)落ち着かせられればよかった」と反省を口にした。

 しかしその一方で、ロティーナ監督は「守備の面でいくつか迷いがあったが、それ以外はとてもいい守備ができた。失点につながるような、戦術的エラーがなかったのがよかった」と、実質的な勝因についても語っている。

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