J1神戸を福田正博が分析。「超一流攻撃陣を生かすために必要なもの」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Matsuoka Kenzaburo

 それよりも、攻撃に偏重した戦力バランスに一抹の不安を覚えている。今季の神戸にはイニエスタ、ポドルスキ、ビジャのほかに、FWにウェリントン(ブラジル)、GKにキム・スンギュ(韓国)が在籍している。

 長いシーズンで安定した成績を残すのに必要なものは守備力で、守備がしっかりしたチームというのは、攻撃陣が抑えられたとしても、高い確率で勝ち点を積み上げられる。しかし、神戸の場合、攻撃のタレントに比べて守備陣の土台に脆弱性を感じる。

 今季は守備的MFにセレッソ大阪から元日本代表の山口蛍を獲得し、サイドバックには鹿島アントラーズでACL優勝に貢献した西大伍、ハリルホジッチ体制下で代表経験もある東京五輪世代の初瀬亮をガンバ大阪から獲った。

 蛍を獲得できたことは守備面で大きい補強になったとはいえ、蛍ひとりで広大なスペースを守り切れるものではない。蛍がCB2枚と連携を蜜にしながら守ることに加え、攻撃時からボールロストに対するリスク管理を高めなければ、守備が破綻する危険性を孕んでいる。

 守備というものは、能力の高い選手を揃えることがすぐにディフェンス力向上につながるわけではない。圧倒的な個の能力を持つ選手がいなくても、コンビネーションを高めながら連動して数的優位をつくって守る方法もある。ただ、現在の神戸の場合、攻撃的な選手を数多く配置しているため、連動した守備を望むにも限界がある。

 神戸が目指しているバルサの場合、守備には強烈なディフェンス能力を持つ選手がいる。CBのジェラール・ピケ、サミュエル・ウムティティ、GKのテア・シュテーゲン、セントラルMFのセルヒオ・ブスケツらの際立った個の力と組織力によって、チームの土台が形成されている。

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