ジュビロ名波監督が明かす、川崎戦のあとの「尋常じゃない1週間」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・構成 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そのうえで、(攻撃のことも考えて)しっかりと前を見て、くさびとなるパスを放つ。その出したパスに対しても、周りがサポートアングルを正しく取ることを心がけさせた。(受け手と出し手の)距離間を変えるのか、それとも(大きく)展開を変えるのか、もしくは同サイドで崩していくのか、選択肢を持たせながらね。

 そうして取り組んできたことが、試合ではパーフェクトに近いくらいハマりました。それぐらいチームとしての調整はうまくいったんだけど、個々にはいろいろな問題が起きていた。

 たとえば、(先発で起用する予定だった)FW川又(堅碁)がケガをして、その週の練習では部分合流しかできなくて......。試合の2日前になって、ようやく紅白戦に出られたんだけど、それでも半分ぐらいしかプレーできなかった。それで試合当日の朝、最終的に確認したら、本人は『行けます!』って力強く答えたんだけど、言葉とは裏腹に、その表情を見ると『ぜんぜん行けません......』っていう顔をしていたんだよね。

 あと、(中村)俊輔も練習中に足を痛めてしまって......。アダイウトンもケガから復帰したばかりだったから、もし川又、俊輔、アダイウトンの3人を先発で起用すれば、3人もの選手が不安を抱えた状態でピッチに立つことになる。それはさすがに避けたくて、川又と俊輔のスタメン起用はあきらめました。

 それで当日、急きょ(小川)航基を(先発で)起用することに決めたんですよ」

――その小川選手が自らPKを奪って、先制ゴールを決めました。突然の抜擢にも見事に応えてくれました。

「あれは、本当にうれしかったよね」

――チームも試合全体を通して、前線からの守備もアグレッシブで、相手の攻撃を許さず、今季一番とも言える内容の試合を見せてくれました。

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