内田篤人が鹿島復帰の1年を振り返る。「日本ってこういう感じなんだ」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 それが鹿島に舞台を移した今季、ようやく選手としてチームに貢献できるようになってきた。実際、本人が手応えを感じたというACLをはじめ、内田がいたから勝てた試合もいくつかあった。

 Jリーグ、ルヴァン杯、天皇杯、ACL、「すべてのタイトルを......」と意気込んでいた今季。結局、制覇したのはACLだけとなり、結果に不満は残るものの、ピッチ内外での存在感など、クラブから寄せられる期待は自覚している。

「自分の置かれている状況、やってきた環境を知ってくれているからありがたい。鹿島の伝統の継承のために獲得したと、鈴木満(強化部長)さんから直に言われている。いろいろな経験をしたからこそ、自分にのしかかるものもあるんだな、と」

 欧州で、世界で戦ってきた経験を還元することは、プレー以前に求められていることなのだろう。

 一方で、内田が後輩たちから受ける刺激もある。レアル戦後には、立ち上がれないほど号泣していた安部裕葵の話をしながら、「気持ちがわかるんだよ」と言ってもらい泣きするシーンがあった。ただ、時間が経つと冷静になっていた。「『後輩、後輩』と(思いやって)言っているみたいな感じになっている。プロだし、競争しなきゃいけないと思ってやっているよ」と、戦う気持ちを強調した。

 日本に約8年ぶりに戻ったことで、日本サッカー界全体に対して思うことが多かった1年間でもあった。

「やっぱ『日本ってこういう感じなんだな』って思うところもある。すごい偉そうだけど、実際思ったからしょうがない」

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