天皇杯優勝が示すレッズの勝負強さ。だが、その強さは完全ではない (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 GK西川周作は「毎年、何らかのタイトルを獲れるのが、浦和の強み」と語ったが、これで浦和は、2016年ルヴァンカップ、2017年ACL、そして今季の天皇杯と、3季連続でタイトルを獲り続けている。

 2015年以前は、あと一歩でタイトルを逃すことが何度もあった浦和だが、天皇杯での準決勝、決勝を振り返っても、セットプレーを生かして効率よく得点し、あとは割り切って守りを固める。そんな勝負強さが身についてきたように見える。MF長澤和輝が語る。

「前半のいい時間帯に点を取って、試合巧者のように点を取られないよう、試合を進められた。こういう戦いでは点を取ることも大事だが、取られないことも大事。トーナメントの戦いができた」

 とはいえ、浦和がいい形で攻撃を組み立てることができず、守備に回らざるを得ない試合展開だったのも確か。決勝を見ていても、チーム全体が連動し、ダイナミックに人もボールも動いていたのは、仙台のほうだった。

 シーズン最後に一冠を確保したとはいえ、内容的に言えば、来季への期待が大いに高まるものには見えなかった。

 今季からキャプテンを務めたMF柏木陽介も、「勝ち切る強さは、チームとしての成長」と手応えを口にしつつも、「正直、内容については『よかった』と言える試合ではなかった」と言い、こう語る。

「勝ち切れるようになったことは確かに強みだが、勝ちにこだわったガチガチのサッカーは(ACLで対戦する)中国や韓国のチームが得意なところだし、それだけでは勝ち上がれない。天皇杯では、内容よりも勝つことにこだわって結果を出せたが、来季に向けてはキャンプから戦術的な部分を、もっとつめていく必要がある」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る