J1連覇の川崎フロンターレが示す「日本らしいサッカー」の方向性
川崎フロンターレがJ1リーグで連覇を達成した。夏場以降は昨年同様に抜群の成績でシャーレ獲得まで駆け抜けたが、シーズン当初を振り返れば滑り出しは苦しいものだった。
J1連覇を達成した川崎フロンターレ 開幕前はJ1リーグ連覇とアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の二冠を目指し、大久保嘉人や齋藤学を獲得するなど、意欲的な戦力補強で臨んだが、ACLのグループリーグでは上海上港(中国)、蔚山現代(韓国)に連敗スタート。約1カ月遅れで開幕したJリーグでも思うように勝ち点を積み上げられず、この時期の失点は少なかったものの、セットプレーからの失点などもあって波に乗れなかった。
その後、ACLのグループリーグで敗退が決まると余剰戦力を整理し、昨年同様のメンバーで戦ったことで歯車が噛み合い始めた。W杯ロシア大会の中断明け以降は12勝3分3敗(11/24時点)。抜群の成績を残した背景は、彼らのスタイルがあればこそだ。
1試合あたりのドリブル回数がもっとも少ないチームというデータが示すとおり、川崎のサッカーは、「ボールを走らせる」スタイル。選手一人ひとりの疲労度は小さく、ゲーム後半になれば体力面で相手チームよりも優り、とくに夏の猛暑のなかではそれがアドバンテージになった。
選手個々を見れば、今季のMVPには家長昭博を推したい。移籍1年目の昨季前半はケガで戦列を離れたが、後半戦からチームにフィットして圧倒的な存在感を放った。その流れのまま今年は開幕からシーズンをとおしてチームの中心を担った。彼のキープ力による"タメ"や、ドリブルでの"推進力"、左利きならではの"リズムの変化"で攻撃にアクセントをもたらした。
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