日本も導入間近? JFA審判委員長に聞く「VARでサッカーはこうなる」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

――プレーの高度化や高速化、映像メディアの進化などにより、ジャッジ自体が難しくなっているのは間違いないと思います。そんななか、ロシアW杯でVARが登場し、スペイン、ドイツ、イタリアなど欧州の主要リーグでも採用されて話題となっています。Jリーグでも導入されるのでしょうか。

「日本では、UEFAチャンピオンズリーグなどで採用されているAAR(追加副審を置く6人制)を2016年から一部のカップ戦で導入していますが、こちらの目的は主にペナルティエリア内周辺のマネージメントです。VARはそれとは違い、そこに至る経緯をすべて見なければいけない。

 VARは今年の2月から準備を始めています。国際サッカー評議会のガイドラインに則ってトレーニングしている最中で、プロレフェリー10人を含む14人のJ1担当主審が、すでに資格の発行を申請できる状況にあります」

――VARで試合の流れが途切れ、「サッカーのよさが失われそうだ」と嘆く人もいますよね。そもそも導入する理由はどこにあるのでしょうか。

「競技規則の理念と精神で謳われている『公平、公正さ』です。ここの部分を担保する人間がレフェリーであって、そのジャッジは競技規則のもとに行なわれる。だから、選手や監督の方々には、こういうジャッジをリスペクトする責任があります。

 しかし一方で、その第5条には、『主審が競技規則およびサッカー競技の精神に従ってその能力の最大を尽くして』とある。レフェリーはこれを尽くさずにリスペクトを求めることはできないと、私はレフェリーたちに話しています。

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