自慢の両翼がキレキレで大暴れ。マリノス、17年ぶりの戴冠なるか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 一方、左の遠藤も出色の活躍だった。スペースがあれば、スピード豊かなドリブルでするすると敵陣に侵入していく。面食らった鹿島DF陣は、警告覚悟で止めるしか術(すべ)はなかった。15分に犬飼智也、29分には西大伍がイエローカードをもらったが、ともに遠藤を倒して受けたものだ。

 この遠藤を警戒するあまり、鹿島は持ち味であるサイドアタックをなかなか繰り出せなかった。相手の抑止力となっていた遠藤のドリブルは、2点目にもつながった。左サイドでボールを受けた遠藤にセンターバックがつり出され、その空いたスペースに天野が侵入。そこからの折り返しを仲川が詰めたものだ。

 もっとも遠藤は「何度か仕掛けてチャンスは作れたけど、1点も獲れていないし、アシストもついていない」と、自身のパフォーマンスには満足していない。

「テルくん(仲川)もウーゴ(ヴィエイラ)も、3トップのふたりは結果を残しているので。誰がどう見ても、僕が得点力とかアシスト力を身につけられたら、もっとチームがよくなる。あとは自分次第だと思っています」

 東京五輪世代の遠藤はU-21日本代表にも名を連ね、先のアジア大会でも準優勝に貢献した。アジア大会から戻ってきたタイミングと、チームでレギュラーの座をモノにした時期はほぼ重なる。代表での経験が21歳の若者を成長させたことは間違いない。

「代表から帰ってきてから、試合に出させてもらっています。求められることと、自分がやりたいことは違う部分もあるけれど、チームのために求められていることをどれだけやれるか」

 そう意気込む遠藤は、「チームとして本気でタイトルを獲りにいきたい。そして僕はここまでゴールがないので、決勝で獲れたら一番いい」と、結果に対してどん欲な姿勢を見せている。

 勢いに乗る仲川と、急激な成長曲線を描く遠藤。この両翼が力強く羽ばたけば、横浜FMに17年ぶりの栄光が訪れるはずだ。

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