最高の戦術家・リージョは「バルサ化」推進の神戸に何をもたらすか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 リージョは、オビエド、テネリフェ、サラゴサ、シウダ・ムルシア、テッラーサといったクラブの監督を歴任したが、1年以上、指揮を全うしたことはない。その後も、2部にいたレアル・ソシエダを1部に昇格させることができなかった。シーズン途中に1部アルメニアの監督に就任したときは残留に成功するが、次のシーズンは2節でグアルディオラ率いるバルサに0-8と敗れ、解任の憂き目にあった。南米に渡り、コロンビアで強豪チームを率いたが、タイトルはスーパー杯のみだ。

 つまり、ほとんど負け続けているのだ。
 
 にもかかわらず、これだけオファーが舞い込むのは、リージョの指導力に定評があるからだろう。指導を受けた選手たちの評判がすこぶるいい。グアルディオラがそうだったように、「その指導を仰ぎ、選手として成長したい」と願う。その熱にクラブ幹部も押されるのだ。

 ボールありきで、勝利するロジックを提示できる人物――。イニエスタを中心に、神戸がバルサ化を進めるなら、これほどの人材はいないだろう。

「日本で監督をやってみたい」

 実はリージョは以前から日本での指導に興味を持っていた。筆者は人を介し、その打診を受けている。しかし、それをあるJリーグ関係者に振ったら、「2部なら可能性がある」という答えだった。

 リージョは、玉にも石にも見えるということか。
 
 しかし、16歳から52歳までプロフェッショナルの監督として生き抜いてきた経歴は、ホンモノである。

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