鹿島が「ふわっと」を「どっしり」に修正。最後まで隙を見せなかった (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「右サイドから攻撃していて、(左サイドの)自分にはマークがついていなかった。何となくこぼれてきそうだなって感じがあったんです」

 これで3点を奪わなければならなくなった川崎Fが、後半攻めてくることは鹿島の選手たちもわかっていた。裏を返せば、2−2に追いつかれたとしても勝利できる。だから、後半6分にPKで1点を返されたときも、鹿島の選手たちは「受け身になりがちだけど、全員集めて2−2でもいいんだから、ここは我慢しなければダメだということは伝えた」(内田)と、ふたたび意思統一を図った。

 粘り強い守備で耐えれば、自ずとしたたかさをも取り戻した。圧巻だったのは後半27分。これもまた山本が絡んでいた。右サイドのスローインから左サイドへと展開すると、駆け上がった山本が素早く安部裕葵に縦パスを通す。前を向いた安部はセルジーニョにスルーパス。これをセルジーニョが冷静に決めて、スコアを3−1にした。

「ラスト20分くらいになってから、相手がきつそうにしていたので、ここで耐えれば逆にチャンスがあるかなと思っていた。3点目のシーンは、高い位置で右から攻撃を仕掛けられていたし、(安部)裕葵のことも見えていたので、シンプルに縦パスを入れればチャンスになるかなと思った」(山本)

 相手の司令塔である中村憲剛も、「3点目を与えてはいけなかった。うちが2点目を獲れたチャンスもあっただけに、そこが大きな分かれ目だったと思います」と言ってスタジアムを後にしたように、この3点目がまさに川崎Fの息の根を止めた。

 また、この試合では大岩監督の采配も的確だった。後半に入り川崎Fが長谷川竜也を投入して、左サイドの圧力を増してくれば、普段は左サイドで出場することの多い安西幸輝を、あえて右サイドMFとして送り込むことで対抗。守備意識が高く、縦への突破力もある安西を当てることで、長谷川の攻撃力を封じ込めてみせたのだ。

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