三竿健斗は足りないものを求めて「ギラギラした姿勢で練習した」 (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

 この試合、クサビのパスを受けるたびに相手の守備により、プレー続行が叶わないシーンが繰り返されていた鈴木優磨。アディショナルタイムでのFKも鈴木が倒されて得たものだった。永木亮太が蹴ったボールをゴール前でスンヒョンが落とす。そして、右手に立つ西がそれを蹴り、ゴールが生まれ、試合は1-0で終了する。

「粘り強い」

 以前、鹿島について訊いたとき、スンテはそう答えた。しかし、今季の鹿島はその粘りをなかなか発揮出来ていなかったのも事実だ(逃げ切ることはあっても、勝ち切ることは少ない)。だからこそ、これがジーコ効果なのかと、テクニカルディレクターに就任したばかりのジーコのことを思わずにはいられなかった。

 試合前日の8月4日から、チームに帯同しているジーコは、鹿島アントラーズの礎を築いた人物だ。「アントラーズのユニフォームに袖を通すことの意味を改めて伝えたい」と、テクニカルディレクターとしての仕事について語っている。そんなジーコイズムのひとつが「どんな試合でも勝つこと」である。

 勝利がもたらす好影響は数多い。クラブ運営、選手育成、チーム強化に繋がるのは当然だが、同時に大きな喜びや希望を人々に与えてくれる。

 劇的な勝利によって、歓喜に揺れるスタンドがそれを示していた。

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