イニエスタが超一流である「証」は、ボールを持っていないときに見える (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro photo by Getty Images

 スタメンのうち5人の入れ替えがあれば、ほぼ別のチームだ。懸案の失点は減ってはいないが、攻撃力で圧倒する風間サッカーらしさは取り戻しつつある。

 後半戦の初戦、名古屋は首位サンフレッチェ広島と引き分けて勝ち点1を手にすると、その後は2連勝。新戦力の前田がFWジョーとのコンビネーションを確立し、得点チャンスを生み出している。ここにケガで離脱中のエドゥアルド・ネットが戻ってきて、中盤が安定してくれば、名古屋は大きく巻き返すのではないか。

 その名古屋とは対照的に、ガンバ大阪は後手を踏んだ感が否めない。レビー・クルピ監督を成績不振で解任し、宮本恒靖新監督が就任したが、その発表は7月23日のことだった。JリーグがW杯で中断期間に入ったのは、5月19日。その後もJリーグカップや天皇杯などがあったとはいえ、もっと早く決断して、新体制でのトレーニングに時間を割くこともできた。

 結局、宮本監督にとって準備期間があまりないなかでの就任になったが、現役時代同様、クレバーに、そして堅実に守備を再構築しながらチームを立て直すのではないか。ここから終盤戦まで、残留を狙えるチームをつくってくるはずだ。

 残留争いは、鳥栖、G大阪、名古屋の下位3チームにばかり目が行くが、この異常な暑さのなか、第22節から24節にかけては過密日程が控えているだけに、混戦になる可能性は高い。

 下位3チームのうち、鳥栖にはトーレスや金崎、G大坂にはファン・ウィジョ、名古屋にはジョーという明確な得点源となるストライカーがいるため、彼らが得点を積み重ね続けてくると、中位にいるチームもセーフティリードとはいえない。

 例年、残留のボーダーラインは勝ち点35前後。最下位の名古屋は現在(8/5時点)の勝ち点は16。17位のG大阪が17。11位の湘南やベガルタ仙台との勝ち点差は10で、3連勝と3連敗でその差は1にまで縮まる。それが現実のものになって不思議はないほど、チーム力に差はない。イニエスタとトーレスのプレーとともに、どのチームがこの猛暑の夏の熱戦を制するのか。毎試合目が離せない。

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