崖っぷちのガンバ。東口「顔面損傷」で必死の勝利は浮上につながるか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Nikkan sports/AFLO

「大丈夫、大丈夫」と東口は最後まで交代を拒否したが、ドクターの判断で交代することになった。東口がピッチを去る際、DFのオ・ジェソクとファビオが労(いた)わりのハグをしたあと、最後に三浦が東口に駆け寄った。

「今日、絶対に勝つから」

 そう言って東口とがっちり握手をかわすと、三浦は気合いを入れ直してピッチに戻った。

「ヒガシくんがあんなことになってしまって......。事故とはいえ、責任を感じていました。この試合は絶対に勝たないといけないって、改めて思ったんです」

  ◆    ◆    ◆

 Jリーグ第9節の『大阪ダービー』。ホームのガンバにとっては、絶対に負けられない試合だった。

 リーグ戦の戦績は、ここまで1勝1分6敗。勝ち点4で最下位に沈んでいた。第7節のジュビロ磐田戦で今季リーグ戦初勝利を挙げるも、前節ではJ2から初昇格を果たしたV・ファーレン長崎を相手に、0-3と屈辱的な完敗を喫した。アウェーの地にありながら、サポーターからの猛烈なブーイングを浴びた。

 内容も、結果も伴わないチームの行く先は、監督の解任である。もしこのセレッソ戦を落とせば、その流れが加速していくことは容易に推測できる状況にあった。

「セレッソに負けたら、大変なことになる。それは、選手や監督はもちろん、クラブのスタッフ、会社の人たちまで、みんな感じていました」

 三浦はこのセレッソ戦で、これまでに味わったことがないようなプレッシャーを感じていたという。

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