「大型移籍」は1チームだけ。J1強豪クラブの補強を福田正博が斬る (5ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 そして今シーズン、最も楽しみな存在なのがジュビロ磐田だ。

名波浩監督がやろうとしているサッカーが1年ごとに上積みされてきているのに加え、名波監督の基準に合った選手が揃ってきている。そのことで、監督と選手、スタッフやサポーターまでを含めて"一体感"が生まれ、それが最大の強みになっている。そうした組織の強さがあるからこそ、資金面のハンデで派手な補強ができなくても、着実に順位を上げることができているのだろう。

 今シーズンの補強に関しては、川辺駿が保有権を持つ広島に戻ってしまったが、その穴は名古屋グランパスから獲得した田口泰士が埋めるだろう。ロアッソ熊本から獲得したモルベッキという20歳FWがハマれば、昨年の6位以上の存在感を発揮すると見ている。

 左SBの攻守に厚みを持たせるために、左利きのギレルメを獲得したことも、補強のポイントを心得ている。さらに、ケガで昨シーズンを棒に振った小川航基や、ドイツから復帰しながらコンディション不良に苦しんだ山田大記といったポテンシャルの高い選手もいるため、昨シーズン以上の飛躍が現実味を帯びていると言っていいだろう。

 そのほか、ミハイロ・ペトロヴィッチが就任したコンサドーレ札幌、前オーストラリア代表監督だったアンジェ・ポステコグルーが就任した横浜F・マリノス、レヴィー・クルピを新監督に迎えたガンバ大阪、ヤン・ヨンソンが就任した清水エスパルス、そして長谷川健太監督が新たに就くFC東京と、新監督を迎えたチームも多い。

 補強に関しては選手の話題をより多くしてもらいたかったところだが......。なにはともあれ、各チームが今シーズン、サポーターにドキドキ感を与えるサッカーを見せてくれることを期待している。

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