永井秀樹の育成。「天才といわれ、3年後に消える選手にしたくない」 (6ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 ジェフU-18戦の前半は1対1で終了した。

 ハーフタイム、永井は全体への指示を終えると、初先発の1年生GK佐藤をつかまえて、こうアドバイスを送った。

「大丈夫。十分やれているから、自信を持って挑戦しろ」

「わかりました!」

 佐藤は永井のアドバイスに大きな声で返事をした。

 永井が言う。

「ミスを引きずってパフォーマンスが落ちて、何もできなくなってしまうことが一番怖い。でも佐藤は、『わかりました!』と笑顔で答えて、そのときの生き生きとした目が印象的だった。その際、『篤輝は(この試合で)何かをつかめるかもしれない』という予感がした」

 後半、序盤の硬さがとれた佐藤は、安定したプレーを見せてゲームを落ちつかせた。得点を奪われてもおかしくないような場面が2度ほどあったが、いずれもファインセーブを見せてチームの窮地を救った。

「ファインセーブもそうだけど、自分が一番うれしかったのは、フィードがノーミスだったこと。自分が目指すサッカーのスタイルは、GKもフィールドプレーヤーのひとりという考え。手が使えるフィールドプレーヤーと思っているから、その観点でいくと、後半の篤輝のパフォーマンスは十分に合格点に値する。右から来たボールを、きちんと(左サイドの)ワイドまで正確に渡せた。あれは、見事だった。

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