選手が2人になっても諦めない。ユース監督・永井秀樹のヴェルディ再建 (4ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 この日、永井は今のチーム、そして選手個々において、新たな発見をし、自らがすべきことを改めて学んだ。それは、今後のヴェルディ再建へ、少なからず生かされていくだろう。

自分がやることは変わらない
いいサッカーを追求し続けていく

 新しい演出を積極的に取り入れたり、ニューヨーク公演を開催したりして、「歌舞伎界の革命児」と呼ばれた故・18代目中村勘三郎氏は、生前に「勘三郎さんの演技は型破りですね」とある記者に問いかけられた際、こう答えたという。

「型があるから型破り。型がなければ、それは形なし」

 型破りとは、常識を超えたやり方や考え方。しかしそれは、基本となる型があって初めて破れる、新しいものを生み出せる、ということだ。

 永井もまた『ラモスの魂』=『ヴェルディのサッカー』というものを学び、そのサッカーを理解したうえで、それだけにとらわれることなく、世界基準となる新たなヴェルディのスタイルを模索し、基本となる型作りを考えている。

 新しい「型」を作る作業は簡単なことではなく、すぐには完成されないかもしれない。目先の勝利にとらわれないこともあるため、批判の対象にもなりやすい。しかし、目先の勝利にこだわり続けた結果、トップチームはJ2に降格し、クラブ存続の危機にも立たされた。

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