降格圏でもがく大宮。奇跡を起こせるのは新エース・江坂任しかいない
「試合前に(他会場の)結果はわかっていたので、今日は勝ち点3が必要だったんですが......。後ろが耐えてくれたのに、前が点を取れずに申し訳ない」
大宮アルディージャのエースFW江坂任(あたる)は、無念さを噛み殺すように言った。ボクシングなら「判定勝ち」だったかもしれない。攻める時間は長く、疑惑のPKというシーンがあり、シュートは惜しくもバーを叩いた。ゴールだけが遠かった。
この日、大宮は清水エスパルスと0-0で引き分けた。その結果、J1残留圏である15位(サンフレッチェ広島)との勝ち点差は5に広がった。
「もう一戦も落とせない」
江坂は切実な声で言った。しかし、そこまで絶望的ではないだろう。
清水エスパルスのゴールに迫りながら無得点に終わった江坂任(大宮アルディージャ) 9月30日、NACKスタジアム。J1第28節、17位の大宮は13位の清水を迎え撃っている。
「前半はうちがボールを持つ時間も長かった。右(サイドバック)は高い位置を取っていたので、自分はバランスを見て、抑え気味にプレーしていた」(大宮・渡部大輔)
大宮は攻守にわたってイニシアチブを握っている。縦、横に効果的にボールを動かし、ゴール前までボールを持ち運ぶ。トレーニングによるプレー練度の高さが伝わった。
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