3位に浮上のグランパス。新外国人は「大当たり」も、まだ残る危うさ (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 とはいえ、名古屋の勝ちっぷりが、盤石と表現できるほど安定した戦いに支えられているかと言えば、そこには疑問を感じざるをえない。

 敗れた松本の反町康治監督が「数字的な結果では完敗という形になるが、あまりそうは思っていない。我々にとっては今季のなかでも非常に積極的でいいサッカーができた」と話していたが、その言葉は決して強がりや負け惜しみではない。スタンドから試合を見ていた印象も、また同じだ。

 名古屋に危うさを感じる理由として、まず挙げられるのは、失点の多さである。前節の愛媛FC戦の7得点に続き、今節の松本戦では5得点と、ツボにはまれば爆発的な威力を発揮する攻撃を備えている一方で、愛媛戦では4失点、松本戦でも2失点と、J1昇格を目指そうというクラブとしては致命的なまでに守備が脆(もろ)い。

 第27節を終えて、総得点50はJ2トップの数字だが、対照的に総失点41はワースト4位タイ。失点数だけでいえば、16位以下に低迷するクラブと同レベルであり、結果的に得失点差の貯金もプラス9と、それほど多くない。

 今季のJ2、特に3位以下が大混戦であることを考えれば、勝ち点で並んだ結果、得失点差で明暗が分かれるという事態も十分起こりうるだけに、決して看過できない数字である。佐藤も「1点を争うゲームで安易に失点すると苦しくなる。ピンチをしのげば、自分たちはどこかで1点取れる力があるだけに、守るところも大事になる」と話し、大味な展開が目立つ最近の戦いぶりに危機感を示す。

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