早くも「戦術はポドルスキ」。世界王者は日本人FWとどこが違うのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 後半4分の先制点は、まさしく典型だった。

 神戸が攻勢に出て、渡邉千真がシュートを放つも、一旦は跳ね返される。これを再びエリア外で拾い、ポドルスキの左足下に流す。ポドルスキはほとんど振り向きざまに一瞬でゴールを視界に捉え、ダイレクトで左足を振り抜き、エリア外から右隅に打ち込んでいる。ボクサーが相手のパンチを払い、電光石火のアッパーでダウンを奪うように、刹那的で感覚的なシュートだった。

 ポドルスキは間違いなく、戦術軸になっていた。彼の左足が生み出す得点の可能性が、チームを旋回させつつある。エリア外でポドルスキがシュートチャンスを得るだけで、アドバンテージになるのだ。

 この夜の神戸の戦いぶりは、決してよくなかった。先制した直後も、ボランチが攻め上がるところで、不用意にボールをつつかれて失ってしまう。そこから逆襲を浴びるわけだが、数的に圧倒的優勢だったにもかかわらず、簡単にクロスを入れられ、緩慢なマークから失点を許していた。

 しかし、同点にされた後に再びポドルスキが輝いた。自らドリブルでエリア内に侵入し、左から的確なクロスを折り返すが、これは流れてしまう。しかし諦めずに中で有利なポジションを確保すると、右からのクロスを呼び込む。挟み込んできた2人の相手選手を蹴散らしながら、ヘディングで豪快にねじ込んだ。

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