福田正博が日本のサッカーに望む「勝っている試合の終わらせ方」 (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 DFラインやボランチのところでボールを回しながら、相手が前線からボールを奪いにきたら、そこをいなしてバランスが崩れたところを突くこともできる。ただ、守備が進化を遂げている現代サッカーにおいては、パスによってボールを保持する試合の終わらせ方は、実はリスクも大きい。

 現在、バイエルン・ミュヘンを率いるカルロ・アンチェロッティが、過去に来日した際に「守備は教えられるが、攻撃はなかなか教えられない」と語っていたが、私もその通りだと思う。相手の攻撃において想定されるシチュエーションは研究が進んでおり、それに応じて各選手がポジショニングや連動などを徹底すれば、相手からボールを奪取できる確率は上がる。そこに、ボールテクニックは必要とされない。

 では、実践することが難しいから、ポゼッションサッカーで試合を終わらせる方法をあきらめるのか。それとも、それを凌駕(りょうが)すべく高い技術を追い求めるのか。そこにこそ、クラブの哲学というものが反映される。

 Jリーグには、浦和をはじめ、ポゼッションサッカーを志向するチームがいくつかある。だが、ほとんどのチームは終了間際になるとパスを回すことを放棄して、なりふり構わずコーナー付近で時間を費やす。この光景は、ボールポゼッションを高めることから乖離(かいり)しているように思えてならない。

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