「ユン革命」が実を結ぶセレッソ、戦うチームになってJ1首位奪取 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「クロスの機会は忍耐強くずっと狙っていました。蛍はやっぱり散らせるんで、いいパスが来ましたね。(ゴール前を見たときに)ソウザが(下がり目に)見えて、相手のセンターバックは下がると思っていたんで」

 この日、殊勲者になった水沼は語った。クロスの精度はリーグ屈指。両チームを通じて最も長い距離を走り、セレッソの新しい色を体現した。走った上で、スキルを出せるか。そこにユンイズムの特色はある。

 ひとつ言えるのは、選手たちがユン監督のマネジメントによって、個性を引き出されている点だろう。

 例えばロンドン五輪代表の山村は適性の合うポジションがずっと見つからなかったが、今や前線で存在感を示している。伸び悩んでいた杉本、FC東京で不遇をかこっていた水沼も同じことが言える。また、澤上竜二は技術的にはまだ粗い選手だが、跳躍力と走力を武器に、試合の強度を高める、あるいはクローズする場面で大きく貢献している。

 結果的に、チームの総合力が向上した。

 終盤、セレッソはFWの山村をDFに下げ、5バックで「籠城戦」を敢行。消耗戦でしぶとさを見せつける。そして2-1のまま守りきった。

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