Jリーグからのベルギー派遣コーチに聞く「欧州の育成は何が違うか」 (6ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko

 その狙いは、1人の選手に対していろいろな視点、アプローチで育てていくことにあります。クラブにしっかりとした軸、哲学があるからできるんですけど、指導者ごとに表現は微妙に違う。その微妙な違いがあったほうがいいということなんです。僕もそうですけど、どうしても人間対人間には相性というのがあると思いますし、自分が気づかないうちに固定観念ができてしまうこともある。ある選手のいいところ、悪いところを自分が感じていても、別のコーチから見たら『こんな視点もあるぞ』ということもある。そこをうまくミックスしていきたいようです」

――子供たちの様子も違いますか?

「子供たちもそれに慣れているというか。たとえば僕が指導するじゃないですか。僕らの感覚だと、もしマリノスのジュニアユースの練習に外国人のコーチが来られて、ぱっと自分たちの練習に入ってきて、ふたつにグループ分けしたうちのひとつを見ることになったとしますよね。そうしたら日本の子供はそのコーチに対して『何、言ってるんですか?』『何、この人?』となると思うんです。

 でも、こちらの子は全くならないですよ。僕の言ったことに対して、『オッケー!』と普通に反応するし、ルールがわからなかったら『ツボ、どうなの?』と聞いてくる。英語がわからない子にはわかる子が通訳してくれる。国や地域の特徴なのか、文化の問題なのか、年齢に関係なく、すぐコミュニケーションをとってくる。

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