永井秀樹ユース監督は伝えた。「みんながヴェルディの歴史を創るんだ」 (5ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 首位フロンターレU-18との試合は、プリンスリーグ関東の前半戦最後の試合でもあった。

 ヴェルディユースは開始直後から体格で勝る相手に押し込まれ、ほぼ自陣内でプレーする苦しい展開を強いられていた。それでも、マイボールになれば、永井から指導された"止める""蹴る"を実践しパスをつなぎ、『90分間のボール保持とゲーム支配』『90分間ボールを持ち続けて、圧倒して勝つ』を目指して走り続けた。

 そうして前半37分、ヴェルディユースはPKのチャンスを得ると、それを確実に決めて先制する。後半は一進一退の攻防が続いたが、1点リードのまま逃げ切り勝ち。順位は3位ながら、1位・前橋育英、2位・フロンターレU-18と勝ち点で並んで前半戦を折り返すこととなった。

 試合終了の笛が鳴ると同時に、ベンチ前の永井は「危なかったなあ」とつぶやき、安堵の表情を浮かべて大きく息を吐いた。

 試合後、クラブハウスに戻ってインタビューする。まず、早稲田大学に0対15で負けた練習試合。あの試合こそが、永井秀樹の"ヴェルディ改革"にかける意思表示ではなかったか、と聞いてみた。

「それは何年かして、ある程度結果が出て、形になったときに初めて、胸を張って言えることかもね。『自分の監督としての原点は、0対15だった』って。今はそんなこと、言ったとしても誰もわからない。これからも0対10で負けるかもしれないし、チームもまだそこまで成熟していないから」

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