ACL首位通過で、フロンターレが今季のモヤモヤから突き抜けるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 中村の声が自然と弾むのは、最高の結果を得たからだけではないだろう。内容においても、川崎は徐々に"らしさ"を取り戻し始めている。背番号14の言葉がそれを裏づける。

「本来の"自分たちがボールを持つ"というところに特化しないと、このチームはダメ。(ボールを)持つ、(マークを)外すというところがピンボケになっていたが、丹念にパスをつないで相手を走らせて(疲れさせる)ということが、(4月21日、J1第8節の)清水戦あたりからできてきた」

"らしさ"を取り戻しつつあるなかで、大島が「(きれいに崩すだけでなく)、ドリブルでえぐって得点したり、セットプレーで得点できたりしたことが大きかった」と話したように、得点パターンの増加も好材料となっている。

 1点目はDF車屋紳太郎の、3点目はFWハイネルのドリブル突破から生まれたゴール。そして、2、4点目はどちらもCKから谷口、DF奈良竜樹がヘディングで決めたゴールである。中村は「苦しいなかでも(攻撃の)引き出しは増えているのではないか」と手応えを口にする。

 中村が「苦しいなかでも」と前置きしたように、今季、新たな船出となった川崎にとって、ここまでの戦いは苦難続きだった。

 昨季までチームを率いた風間八宏前監督(→名古屋グランパス)が退任し、時を同じくしてエースストライカーのFW大久保嘉人(→FC東京)も移籍。加えて、今季開幕直後からケガ人が続出し、なかなかベストの戦力を整えることができなかった。

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