トップ公式戦初出場の久保建英に見る、メッシのデビュー戦との共通点
2017年5月3日、味の素スタジアム。ハーフタイム、少年はピッチに入ろうとすると、チームメイトから呼び止められた。納得した顔で、彼はタッチラインの外に出る。そこで何基ものスプリンクラーが飛び出し、一斉に放水が始まった。少年はその飛沫を眺めながら、2リットルのペットボトルを両手で持ち、水を飲み下した。渇きを癒してから、足もとのボールを愛おしそうに転がし、放水が終わるのを待った。
彼が試合のピッチに立つのは、後半66分のことだ。
札幌戦の66分に交代出場。トップチームデビューを飾った久保建英 久保建英(FC東京)はルヴァンカップ、コンサドーレ札幌戦でJ1トップチームデビューを飾っている。
15歳の少年がトッププロのピッチに立つ。そこに沸き立つのは底知れぬ期待感だが、わずかながら意地悪な勘ぐりも混ざる。
少年はホンモノなのか?
それを見極めたくて、たとえ見極めきれなくても姿を目にしたくて、2万人近い観客が集まった。同日に開催されたルヴァンカップの試合では最多だ。
「久保建英」
交代出場でその名前がコールされると、ひと際、歓声が大きくなった。
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