短すぎた札幌・小野伸二の浦和凱旋。「天才」に懸ける手はなかったか (4ページ目)
ただ「消極的」だったというのは、試合へのアプローチそのものにも当てはまるのではないだろうか。前線に負傷者が続出するなか、アジア屈指の技術と経験を持つ「万全の状態」の選手を先発させる手は考えられなかったか。まして、小野はボールにたくさん触れてテンポを生み出していくタイプの選手だ。ジョーカー的に使うのは、スピードや勢いのある選手でもいい気がする。
理屈で考えれば、強敵に対する5−4−1の籠城作戦も、そのために走れる若手を起用する意味もわかる。ただこのスポーツには様々な側面があり、チェスのような理詰めの攻防がある一方で、特別な才能を有する稀有なアーティストのひらめきやスキルが勝負を分けることもある。そして多くのファンは、後者を期待している。
残留を目標とするチームが難しい選択を迫られることも十分に理解している。それでもいつか小野がたっぷりと出場時間を与えられ、「(時間がなくて)なんにもできなかった」なんて振り返らないような試合が訪れることを願う。
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