等々力の悲劇でまたドロー。川崎Fの「分けグセ」はいつ治るのか?

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ドーハの悲劇ならぬ、等々力の悲劇である――。清水エスパルスをホームに迎えた一戦。清水FWチアゴ・アウベスが放った強烈なシュートがGKチョン・ソンリョンの手をすり抜けてゴールに吸い込まれると、バタバタと水色のユニフォームがピッチに倒れ込んでいく。直後にタイムアップの笛が鳴った「正真正銘のラストプレー」で2-2の同点に追いつかれた川崎フロンターレは、またしても勝利を手にすることができなかった。

終了のホイッスルと同時にピッチに倒れ込む川崎Fの面々終了のホイッスルと同時にピッチに倒れ込む川崎Fの面々 これでリーグ戦は3試合連続引き分け。ACLも含めれば、公式戦4試合連続ドローである。不甲斐ない結末に、記者席の前に座っていた可憐な女子高生さえも、怒りのあまりブーイングを浴びせかけるほどだった。

 J1リーグ第8節を終えて、川崎Fは3勝4分1敗で7位。3年ぶりに参戦したACLでは、なんと4試合を戦ってすべてがドローである。今季の公式戦で敗れたのはJ1第4節のFC東京戦のみながら、12試合で8つの引き分けと、実にもどかしい状況に陥っている。

 昨季までの川崎Fは、その攻撃的なスタイルを踏まえても、むしろ勝ち負けのはっきりしたチームのひとつだった。一昨季はリーグで3番目に少ない6引き分け。昨季も4番目に少ない6引き分け。ところが監督が代わり、スタイルの変化が生じるなかで、負けないけれども勝ち切れない、言い換えればどこか無難なチームに変わってしまった印象は否めない。

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