等々力の悲劇でまたドロー。川崎Fの「分けグセ」はいつ治るのか? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 現実を見れば、得点力不足だけにとどまらず、試合終盤の失点の多さという課題も浮かび上がる。9失点中6点が75分以降に喫しており、うち3点はアディショナルタイムに奪われたものだ。終盤の勝負弱さが、そのまま勝ち切れない状況を生み出しているのは間違いない。

 清水戦での被弾も、ある意味で起きるべくして起きたものだった。MF中村憲剛は次のように指摘する。

「逆転してから3点目を獲りに行くつもりだったし、誰も守るつもりはなかったけど、終盤に向こうがフィジカルの強い選手を入れてきた。ロングボールを入れれば何か起きるんじゃないかということをやってきたわけだから、こっちも多少戦い方を変えないといけなかった」

 3点目を奪いに行くことはチーム内の共通意識としてあったというし、現状勝ち切れていないチームが1点を守り抜くことより、セーフティリードを手にしたいと考えるのも当然のこと。なにより「3点目を奪いに行くこと」は攻撃サッカーがウリの川崎Fらしい選択だったと言える。

 それでもサッカーが相対的なスポーツである以上は、相手の出方によってプランを変えざるを得ない状況も生まれてくる。「逃げ切り策を取っておけば」と言うのは、もちろん結果論。どちらの選択が正しいとは言い切れないものの、「あと少し柔軟性が備わっていれば」と思わせる、川崎Fのもったいない戦いぶりだった。

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