名将が変えたヴェルディ。バルサっぽくないスタイルにJ1昇格の予感 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 ひるがえって東京V。昨季18位に沈んだかつての盟主は、今季就任したスペイン人指揮官のもとで、確実に生まれ変わった姿を示した。湘南相手に互角に近い戦いを演じ、曺監督も「ヴェルディさんは若い選手が多く、非常に小気味よいサッカーをしている。そこは我々も学んでいかなければいけない」と賛辞を贈ったほどだ。

 今季の東京Vの特長は、なんといっても守備にあるだろう。この試合ではミスもあり3失点を喫したものの、5試合連続完封はやはり伊達ではない。3バックの一角を務めるキャプテンのDF井林章に昨季との違いを尋ねると「組織に尽きると思います」と断言した。

 これまでの東京Vは、高い技術とポテンシャルを備えた選手が多かった一方で組織性に乏しく、個々の力に左右される部分が多かった。ところがロティーナ監督は短期間で、その足りなかった部分をチームに植えつけることに成功した。

「ひとりひとりがやることと、それに対する周りの動きを徹底して組織されているのが、今年のヴェルディだと思います」(井林)

 とりわけ守備の部分では、チャレンジ&カバーの意識を保ち、1対1の状況を作らせないことを徹底しているという。だからこそ井林は、自らのミスが招いた2失点目の場面よりも、隙を見せた1失点目を悔やんでいた。

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