名将が変えたヴェルディ。
バルサっぽくないスタイルにJ1昇格の予感
苦虫を噛み潰したような表情で試合後の会見に臨んでいたのは、試合に敗れたことが原因ではないだろう。その発言には、ポジティブな言葉が並んでいたからだ。つまりそれが、彼にとってのノーマルな表情なのだ。
今年から東京ヴェルディを率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督 結果に一喜一憂せず、冷静に試合を振り返っていく。朴訥(ぼくとつ)とした雰囲気ながら、その眼光には鋭さが備わる。今年60歳となるスペイン人指揮官からは、数々の経験や修羅場を潜り抜けてきた者だけが備え持つ、独特の深みが感じられた。
ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督に率いられる東京ヴェルディが、2008年以来遠ざかるJ1復帰に向けて好スタートを切った。開幕戦こそ徳島ヴォルティスに0-1と敗れたものの、第2節の大分トリニータ戦から5連勝を達成。しかもすべてが完封勝利と盤石の戦いぶりで、第6節を終えて5勝1敗と首位に立ったのだ。
そして迎えた第7節の対戦相手は、昨季のJ1チームである湘南ベルマーレ。昇格候補の一角である難敵相手にいかなる戦いを見せるのか――。東京Vにとってこの試合は、J1昇格へ向けた試金石の一戦と言えた。
結論から言えば、東京Vは一歩及ばず2-3で敗れ、湘南に力の差を見せつけられた格好となった。もっとも内容自体は悲観するものではなく、ロティーナ監督も「今シーズンで一番いいプレーができた試合だった」と振り返っている。
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