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今年は「何かが違う」FC東京。
J1制覇の現実味がハッキリ見えた (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 とはいえ、FC東京がJ1トップレベルの戦力をそろえるのは、これが初めてのことではない。それどころか、単純な選手個々の能力の足し算で言えば、この4、5年、FC東京は常にJ1トップレベルの戦力を有していたはずである。

 にもかかわらず、これまではJ1を制するどころか、AFCチャンピオンズリーグ出場圏内に滑り込むのがやっと。せっかく優れた戦力を擁しながら、相応の結果を得ることができなかったのだ。

 そうした歴史を踏まえれば、今季FC東京がいかに豪華補強を行なったとしても、結局は"何か"が足りず、タイトルを逃す。そんなシナリオは十分に考えられる。FC東京に限らずとも、開幕前に注目を集めた大型補強が結果に直結しなかったケースは、過去のJリーグにおいて枚挙にいとまがないからだ。

 だが、今季のFC東京はこれまでとは違う。昨季王者を下した開幕戦の勝利は、そんなことを感じさせてくれる内容だったのではないかと思う。

 決して試合内容がよかったわけではない。中盤でごちゃつく展開が多く、両チームともいい形でゴール前にボールを運べず、当然決定機も少なかった。

 どちらかに大きく流れが傾くことのない試合は、FC東京の篠田善之監督も「苦しい時間が長かった」と振り返ったように、ある意味で鹿島ペースの試合だったとも言える。強固な守備をベースに拮抗した展開に持ち込み、どこかでワンチャンスを生かし、勝利につなげる。「勝負強い」と形容される鹿島が、何度も見せてきた試合展開だった。

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